top of page

設立背景

 近時、企業の知財管理、企業の事業活動を取り巻く社会情勢等の背景の下、ますます営業秘密を知的財産権として保護する重要性が意識されるようになってきています。

 我が国企業の営業秘密が国内外に流出する事案が顕在化し、中国・韓国を始めとした新興国に我が国の営業秘密が流出するリスクも高まっており、我が国企業の国際競争力低下が懸念されています。サイバー攻撃による顧客名簿の流出被害も深刻です。一方で、加害者となるリスクも意識されなければいけません。例えば、中途採用などで他社の営業秘密が持ち込まれ、それを使用したとなると、営業秘密侵害の訴訟を受けるリスクがあります。

 このように営業秘密侵害が大きな問題となってきている背景に、企業間取引の多様化があります。他社との共同研究や、グローバルなサプライチェーンの形成、海外拠点の構築等が進んでおり、営業秘密を社外や国外と共有する機会が増えています。また、サイバー犯罪の深刻化による悪影響も無視できなくなってきました。電子化された営業秘密は、標的型攻撃等で持ち出し被害を受けるリスクが高まっています。


 このような社会的背景を受けて、営業秘密侵害行為に対する抑止力の向上等を刑事・民事両面で図るため、不正競争防止法の一部が改正されました。また、企業の情報管理に関連する個人情報保護法の改正、企業の知財管理に関連する職務発明に関する条項の改正を含む特許法の改正も控えています。このような状況をむしろ好機と捉え、営業秘密の保護管理体制、更には知財戦略や知財管理の方法を再検討することが有益と考えます。

 我が国企業としては、この法改正の趣旨を広く理解し、各企業の規模やその他の実状を踏まえた合理的管理を実践することで、営業秘密が法律上の保護を受けられる管理水準を維持する必要があります。次に、サイバー犯罪に対抗するためのサイバーセキュリティ対策の検討も必要です。

設立目的

 以上の背景を踏まえ、企業の営業秘密保護の取組みを、国際法務も含めて実務面から具体的に研究することを目的として、営業秘密保護推進研究会を設立します。


 本研究会では、我が国において営業秘密が法律上の保護を受けられる「合理的な管理」の実態と、「より高度な管理」としてのサイバーセキュリティ管理の望ましい姿について、持続的に研究・啓発を行います。また、営業秘密保護実務における重要かつ具体的な課題を選定し、これに特化して企業が行うべき実務(リスクアセスメント、適正管理診断、規程整備、管理策の導入と監査、人材教育、インシデント対応、証拠保全・攻撃者特定、訴訟時の対応等)を具体化する研究を、産学で行うことを目的とします。

設立趣意書全文はこちらからご確認いただけます。

bottom of page